公演のたびに新しい発見があるミュージカル。
「CATS」を初めて見たのは、1996年東京の品川で公演されていた時でした。その後、1997年から98年にかけて、札幌のJRシアターで上演されましたので、ほぼ1か月に1回のペースで通っていました。
「CATS」のストーリーはあってないようなものなので(苦笑)、ただ純粋に歌とダンスと、そして猫の目から見た大きさで作られた舞台装置や演出、そういうものを楽しむのが良いと思います。
なので、ダメな人はダメだし、ハマる人はハマる。
私はハマった方で、何回観ても新鮮な発見があり、飽きることがありません。
前回の札幌公演の後、2011年に横浜公演も観ましたが、演出や振付が大幅に変わっていて、また新しい発見がありました。
2014年札幌公演も新演出あり!
そして今回の札幌公演ですが、まず北海道四季劇場が小さくてコンパクトなので、前回の札幌や横浜で観た時よりも舞台が近く、緊密な感じがします。
で、一番びっくりしたのが、幕間にステージに上がれること!
上手側から下手側に向かって一方通行でステージに上がり、舞台装置などを観ることができます。(私は時間の都合で上がれなかったので、次回観た時の楽しみにしておきます!)その途中で、休憩中にも関わらず舞台上に猫が現れたりして、お客さんがびっくりしていました。
前の札幌公演の時は、長老猫のサインをもらえたのですが、それがなくなってこういう演出(サービス?)になったんですね。
この幕間にステージに上がれるというのは、初演のウェストエンドかブロードウェイで行っていたと、本で読んだことがあったような気がするんですが、それを取り入れたのでしょうか?どなたかご存知の方いらしたら、ご教示願います。
そして2幕の始まりは、客席に長老猫オールドデュトロノミーが現れ、通路を通って舞台に上がり、そこに猫たちが集まってきて始まるという流れで、これも前回の公演とは違う演出でした。
全体を通して、北海道四季劇場のコンパクトさを生かして、より客席と舞台の一体感というか、お客さんが猫の世界に入り込んでいるということを実感できるような演出がされているように感じました。
キャストも豪華で、不安もなく…時々、四季さんの舞台は「あれ?」と思うことがあるので(苦笑)…安心して猫の世界に浸ることができました。
個人的に、ランペルティーザ役の方の歌い方が、ちょっと個性があって好きでした。
客席の「ゴミ」の意味
この作品は、劇場全体がゴミ置き場という設定で、客席の壁も一面ゴミでおおわれています。
この美術を担当する方が「震災後、この美術の見方が変わった。ゴミ一つひとつに使っていた人の思い出がある」と仰っていたのを、読んだことがあります。今回客席で、北海道にちなんだゴミを探していたとき、その話を思い出しました。
そういえば、私も津波で流された母方の実家跡地で、生活の痕跡を探しました。茶碗の欠片が土に埋まっていて、「もし家で使っていたものなら、持ち帰りたい」と思ったのを覚えています。他の人にはゴミに見えるような物でも、それにまつわる思い出に救われたり、心の支えになるような経験があります。
「CATS」の中で一番好きな場面が、鉄道猫のシーン。猫たちがゴミで列車を作るんですが、そこが何度見ても涙腺が緩んでしまいます。
もしかしたら、「ゴミの中にある思い出から、新しいものが生まれる」ということが印象的に理解できる場面だからなのかもしれないと思いました。