劇団四季のミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」札幌公演の初日を観てきました♪
初日のキャストボード。
ストーリーや作品については、こちらをご覧ください。
劇団四季 作品紹介「サウンド・オブ・ミュージック」
https://www.shiki.jp/applause/sound/
ミュージカルの中のミュージカル!
私、このミュージカル大好きです!今まで観た全てのミュージカル作品の中でも、一番好きかもしれません。
生まれて初めて観た映画が、ジュリー・アンドリュース主演の映画版でした。劇団四季版の前にも、大地真央主演の東宝版も観たことがありますし、ブロードウェイやロンドンで上演された版のCDや楽譜を取り寄せたりもしました。
作品を観たことがない人でも聞いたことがある曲の数々、しかもその全てが名曲。こんな作品、これと「ウェストサイド物語」くらいではないでしょうか?
全てのミュージカルの基本というか、ミュージカルのあるべき姿が「サウンド・オブ・ミュージック」にはあると思います。
劇団四季版は、2010年東京公演に次いで2回目の観劇です。
札幌公演初日の感想~キャストを中心に。
今回の札幌公演初日ですが、前に観た東京公演よりも全体がとても生き生きした感じに見えて、素晴らしかったです。前作の「ライオンキング」でも思ったのですが、東京公演よりも札幌の方がのびのびしているというか、活気があるんですよね。客席の雰囲気なのか、私が贔屓目で見ているからなのか分からないですが…。
特に主役のマリアと子ども達!
主役のマリアは、平田愛咲さん。とてもキャラクターが合っているように思いました。「ドレミの歌」の中で、1つの音に1個ずつ言葉を乗せるはずが、2個乗っていることを指摘されて、「時々そうなるけど気にしないで!」とごまかす台詞が、とてもハマってた(苦笑)
子どもたちも、とてものびのび演じていました。四季の舞台で良く指摘される開口…台詞をハッキリ言うことを重要視するために、逆に不自然に聞こえてしまう…も、それほど気になりませんでした。
「ドレミの歌」で子どもたちとマリアが打ち解けていく過程が、このミュージカルの最初の見どころだと思うのですが、それぞれ打ち解けていくタイミングが異なるんですね。それがハッキリ分かって、改めて奥深さを感じました。
あと、今回グッと来たポイントが、第2幕の「エーデルワイス」の場面。
トラップ大佐が祖国を想って途中で歌えなくなってしまうのですが、その後を継いで歌い始めるのが、クルト(下の男の子)だったんですね!
映画ではマリアだったので、そのイメージが強かったのですが、新たな発見でした。(同じ子どもでも、長女のルイーズじゃなくて下の子だったというところが、何ともグッときます)
その他のキャスト、トラップ大佐は深水彰彦さん。踵をコツンと合わせて立つ姿が凛々しい。
修道院長の秋山知子さん、「全ての山に登れ」が絶品。
エルザの高倉恵美さん、マックスの荒川務さん、歌がないのがもったいない。四季版は、この二人が歌う曲がカットされているんですよね。それがあると、より二人の人間性が分かって、深まると思うのです。特にマックスの、好ましくないと思いながらも時代の流れを利用する生き方とか。
"Hou Can Love Survive?"と"No Way To Stop It"の復活を強く望みます
サウンド・オブ・ミュージックの素晴らしい音楽
音楽は、どの曲も名曲だらけですが、特筆すべきは「ドレミの歌」
メロディーは、普通に音階を並べただけのシンプルなもの。そして歌詞は「ドはドーナツのド、レはレモンのレ…」と、ハッキリ言ってあまり意味がない。もっと言ってしまったら、どうでもいい歌詞。
どうでもいい歌詞のはずなのに、「仲良くしましょう」なんて一言も言っていないのに、それがストーリーの中で歌われると、仲良くなっていく様子が理屈じゃなく心底実感できてしまうという、とても不思議な曲。
曲自体が持つ力と演出のマジックなんでしょうね。
1幕ではロルフとリーズルで恋人同士の歌として歌われる「もうすぐ17才」が、2幕ではマリアとリーズルで親子の歌として歌われるのも好きなポイントだし、映画とはちょっと違うポイントで歌われる「私のお気に入り」も(こっちが本来の形ですが)修道院長のマリアへの信頼がよく分かる場面の1つ。
マリアとトラップ大佐のワルツ「レンドラー」も、台詞がなくてもお互いの心が寄り添っていくのが理解できる温かい場面。
その他「全ての山に登れ」も「サウンド・オブ・ミュージック」も、この作品の曲については、いくら語っても語りきれませんので、後で記事を別にしたいと思います。
四季版でカットされた2曲の復活を求む!
ストーリーについて、思うことを1つ。
このミュージカルは、ファミリー向けや子ども向けというイメージがあります。それは、音楽を通した親子や家族愛を描いているからに他ならないのですが、この作品のストーリーにはもう1つ重要なことがあります。
それは、第2次世界大戦前のナチスの台頭です。
その時代の流れの中で、トラップ大佐のように意思を貫いた人もいれば、ロルフのように流された人もいた。あるいは、マックスのように上手く立ち回ろうとした人もいた。
それぞれの生き方について、単純に「正しい」「間違っている」と判断を下すことは、誰にもできないと思います。ただ、その時代を精一杯生きているだけ。
それを歌っているのが、四季版でカットされている"No Way To Stop It"で、このため四季版は「家族愛」がより全面に出されている感じがします。
それはそれで良い選択だとは思うのですが、やっぱり作品本来の姿が見たい。
とかく、異なる考えに対して不寛容な傾向にあり、そして作品の舞台となった時期と同じように世界的に保護主義的・右寄りな傾向が目立つ今日において、このミュージカルの奥深さは、自分たちの生き方を考える意味でも大切なのではないかと思います。
なので、やっぱりカットされた2曲、"Hou Can Love Survive?"と"No Way To Stop It"の復活を強く望みます。
今回の札幌公演、一応千秋楽のチケットは取っていますが、その他にもあと1~2回観られたら足を運びたいですね。